チラシ

 5月6日の文学フリマ無事に終わりました。
 ブースに足を運んでいただいた方ありがとうございました。


 で、以下は前回(2018年11月)の文学フリマで配布したチラシです。
 ミニゲームになっているので遊んでみてくださいね。


クトゥルー神話ミニアドベンチャーゲーム
『怪奇!叔父が消えた館』

 このチラシはゲームブック形式のミニゲームです。
 文章を読んで選択肢を選んだら、そこで指示された節へ進んでください。
 a~fのアルファベットの節にたどり着いたらそこで終わりです。


 あなたは親戚からたのまれ失踪した叔父を探すことになった。
 叔父は有名な考古学者で、あなたも大学で考古学を学んでいるのでわりと親しかったのだ。
 ここは都内の住宅街にある叔父の家である。あなたは、隠されていた鍵を発見して家へ入ることに成功した。
 部屋の中を調べると、机の上にノートを見つけた。
 ノートを開くと、叔父の文字がびっしり書き込まれている。
 それは『無名祭祀書』や『妖蛆の秘密』といった書物からの抜き書きと、その翻訳を試みたメモのようだった。
 どうやら叔父は、呪われた妖術師の一族について調べていたらしい。
 ノートの最後には「邪声館を調べる!」という走り書きがあって、住所も記されていた。
 叔父はそこへ行ったということだろうか?
 ほかに手掛かりらしいものは見つけられなかったので、あなたはこの邪声館なる場所へ行ってみることにした。
 部屋を出る前に、あなたは棚の上に並べられた三つのものに目を止めた。
 それは〈黒い鍵〉〈赤い石〉〈緑の瓶〉である。
 あなたは虫の知らせのようなものを感じて、このうちの一つを御守りとして持っていこうと思った。

  〈黒い鍵〉〈赤い石〉〈緑の瓶〉

 この三つのうちどれを持っていくか、一つを選んで記憶しておくこと。

 移動の途中、ネットで邪声館について調べると以下のことがわかった。

  ・明治時代に欧州から移住してきた妖術使いが住んでいたが、現在は無
  人の謎めいた館である。
  ・付近の村人が行方不明になることがあり、館で妖術の実験に使われた
  のではという噂がある。
  ・時おり中から奇怪な叫び声のようなものが聞こえるので“邪声館”と
  呼ばれている。


 その館は、千葉県某所の海にも近い森の中に建っていた。
 玄関のドアは開いていて、中に入ることができた。
 この先へ進むために、あなたは次の三つのルートから一つを選ばねばなら
ない。

  奥へ進む廊下   1へ
  二階へ上る階段  2へ
  地下へ下る階段  3へ


  1
 廊下を進むと突き当りにドアがあった。
 ドアから部屋に入るとその奥には大きな金庫のようなものが置かれていた。
  〈黒い鍵〉を持っているなら  aへ
  持っていなければ       bへ


  2
 階段を上っていくと天井から何かが垂れ下がってきた。
 それは無数の触手をもった怪物ニョグダだ!
  〈緑の瓶〉を持っているなら  cへ
  持っていなければ       dへ


  3
 階段を下っていくと暗い地下室へ出た。
 足を踏み入れると床の落とし穴が口を開けあなたは落下した。
  〈赤い石〉を持っているなら  eへ
  持っていなければ       fへ

  a
 あなたは〈黒い鍵〉を使うことで金庫の扉を開けることができた。
 そこには伝説の魔道書『ネクロノミコン』が――
 外国語の得意なあなたは読み始めると止まらなくなった。
 自宅へ持ち帰り研究をつづけることにした。
 その結果、禁断の知識に触れたためあなたは気が狂ってしまった。

  b
 金庫には鍵が掛かっていて開けられなかった。
 あなたが部屋の中央に立つと、床が光り出した。
 突然、気が遠くなるような感覚があった。
 気がつくと、そこは凍てつく荒野のカダスである。
 あなたはその地をさまよい歩いた末、食屍鬼の群れに襲われて死んだ。

  c
 あなたはニョグダに〈緑の瓶〉を投げつけた。
 中の液体がかかると怪物は溶けながら消え去った。
 二階の部屋には一枚の肖像画があった。館の主の妖術師を描いたものだ。
 そしてその顔のは叔父とよく似ている気がした。それ以上にあなた自身に似ている。あなたは呪われた妖術師の子孫なのだった。

  d
 ニョグダはあなたに襲いかかってきた。
 無数の触手が体中に絡みつき引き寄せられていった。
 巨大な口に飲みこまれ、あなたは死んだ。

  e
 あなたの身体は宙に浮いていた。〈赤い石〉が光っていた。
 石の力で落とし穴には落ちずに済んだ。
 地下室を調べると手帳を見つけた。それは叔父の残したもののようだ。
 この手帳の内容を調べれば叔父の行き先がわかるだろう。探索はつづく。
 
  f
 落下したあなたは斜めになった通路を滑り降りていった。
 そして海中へ投げ出された。溺れる……
 そう思ったが、あなたの身体に変化が生じた。
 手足には水かきが、呼吸はえらでできた。
 あなたは〈深きもの〉とよばれる海棲人だったのだ。
 何かに導かれるように深海へと旅立っていった。