『物語の体操』のカードを改造して使う
プログラムで小説を書く何かいい方法はないものか?
決まったパターンのヴァリエーションならば前々回書いた樹木型でつくれるが、それだと意外性に欠ける。
もっと、構造自体が動的に変化していくようなプログラムはつくれないだろうか。
大塚英志の『物語の体操』という本に載っているカードがそのヒントになりそうな気がする。
このカードをプログラム化したものをネット上でいくつか見かけたこともあるけど、私も作ってみたのがこちら。
カード名の後に+か-がつくことで逆位置が表現できるようにした。
このシステムが優れていると思うのは、あらすじを象徴的な一語で表すことで、一枚のカードが物語の発端でも結末でもどこにでも使えるということではないか(大塚はタロットカードから発想したとか)。
だがこれでやるとわりとワンパターンのストーリーになる気がする。旅の途中で仲間や敵と出会っていくという、『少年ジャンプ』的なね。
なので、こういうものは改造して使う。
まず、私が書きたいのはクトゥルー神話なので、カード名もそのイメージで変えてしまう。
この二十四枚にした。
「書物」「死者」「相続」「通信」「血脈」「旅行」「妖術」「機械」「天災」「悪夢」「芸術」「宗教」「狂気」「薬物」「犯罪」「遺跡」「地下」「宇宙」「都市」「召喚」「失踪」「動物」「歴史」「復活」
ここから四枚をランダムに引いてそれを起承転結としてあらすじを考える。逆位置は使わない。
それをプログラミングしたのがこれ。
これを作ったのはもうだいぶ前だけど、私の書いた短編の多くの筋書きもこれを使ったものだったりする。
つまりこれであらすじはつくれる。しかし小説の文章は自分で考えなければならない。
植物が種子から成長するように、一つの言葉から文が成長していくような仕組はつくれないものか。
そういえば「ライフゲーム」というのがある。
ライフゲーム|第一学習社
あれのドットのかわりに文字を配置したら、いつの間にか文ができてる、などと一瞬考えてしまったが、そんなわけはない。あれはドットが周囲の疎密に反応してるだけだから、文字でやっても同じ文字が増殖するだけだろう。
植物の種子は、土や水分など周囲の環境に反応して成長する。
では、文が成長する環境とは何か?
本日の成果
(遺跡)(悪夢)(犯罪)(天災)
この四枚のカードから考えたあらすじが以下のもの――
ある学者が遺跡に調査に行き発掘品を持ち帰る。
その夜からひどい悪夢を見るようになる。
発掘品を何者かに盗まれる。
盗んだ者を追って行くと嵐に巻き込まれる。嵐の中には怪物の姿が……